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Dr Richard Foxton
歯科修復・補綴、歯周病、歯内療法専門医
BDS PhD MFDS RCS PGCAP PGDip ISFE
東京医科歯科大学で博士号を取得し日本人の歯と心を知る万能医。
【資格】
BDS Manchester 1989
PhD (歯学博士) 東京医科歯科大学大学院歯学研究科 歯科補綴学博士課程 2003
MFDS RCS (Ed) 2004
PGCAP King’s College London 2007
PGDip King’s College London 2010
ISFE (Rest) Royal Colleges of Surgeons 2014
GDC Registration number: 64851
【略歴】
リチャード先生は1989年にマンチェスター大学を卒業後、8年間マンチェスターの地で一般歯科医として従事しました。その後、日本の文部科学省から日本の大学の奨学金を得、1998年に日本に渡りました。
電気通信大学で日本語を学んだ後、東京医科歯科大学の田上順次教授に師事し歯科補綴学博士課程を修了しました。ロンドンに戻った彼は King’s College London Dental Institute で臨床医の育成を手掛けながら Tower Hamlets PCT で開業します。現在は King’s College London Dental Institute で修復歯科の専任講師に従事しており、歯牙破損・歯周病・インプラントなどの紹介患者の治療にも携わっています。
リチャード先生は、その多彩な歯科知識と臨床経験から100誌以上の論文審査制刊行誌に共著、さらに、二冊の本を出版しています。
また、Journal of Prosthodontic Research と Official Journal of Japan Prosthodontic Society の共同編集をしています。
リチャード先生はGDCの修復歯科医・歯科補綴・歯周病・歯内療法の専門医として登録されています。
【リチャード先生について】
リチャード先生から何となく日本のわびさびを感じませんか? それもそのはずリチャード先生は幼少の頃から合気道に親しみ情熱を傾けていました。
マンチェスターで歯科医師として働き始めた頃、合気道にかける熱い思いから、茨城県は岩間のとても有名な道場に弟子入りをするために、はるばる日本にやってきました。その道場に向かう道すがら、歯科医師として尊敬する東京医科歯科大学の教授とお話をする機会がありました。きっと後にリチャード先生の師匠となるこの教授は、ちょっとお話をしただけで、先生の情熱をもって物事に取り込む姿勢の素晴らしさと天性の才能を見て取ったのですね。そして、全力で歯科に取り組んでほしいと願ったのでしょう。最後に教授は先生にこう言い放ちました。
「合気道のために日本に来たのなら、お前など要らん!」
リチャード先生はショックを受けましたが、同時に気付かされるものがあったのだと思います。
その後、リチャード先生は日本の文部省の奨学金を勝ち取り、合気道ではなく、この時お話した教授:田上順次教授の下で歯科に専念することになります。
東京医科歯科大学には Operative and Cariology という研究をしている科があります。ここが、世界的に有名な田上順次教授がいらっしゃるところです。ここでは、むし歯や歯の保存学 (う蝕学、保存修復学) の研究が熱心に行われています。そしてここは、ダイレクトコンポジットレジン充填という、むし歯を最小限にしか削らず、審美的・機能的に回復させるというメソッドの世界的の中心的な研究所です。
リチャード先生は来日後、この田上教授のもとで研究をし、さらにまた歯科接着の分野で有名なハイブリットレイヤーを発見した中林宣男教授のもとでも様々な世界的価値のある研究をします。これらの研究は、東京医科歯科大学の名誉教授、総山孝雄教授が世界に先駆けて指導した「無痛修復」の技術を習得するために欠かせないものでした。無痛修復技術というのは、むし歯を最小限に削りコンポジットレジンで修復する技術を用いると、患者が日常的な痛みを感じていない程度のむし歯なら、麻酔なしで治療が行えるというものです。リチャード先生は世界中に名の知れ渡った教授たちに師事できることを光栄に感じ、合気道以上の情熱を傾けるのでした。
さて、この無痛修復技術について、少し説明しておきましょう。
むし歯の治療は、むし歯に侵された部分を全て取り除き、その取り除かれた部分を何らかの材料で修復し、歯を元の形に戻し、再び噛めるようにします。
歯は水晶並みに硬いので、むし歯部分を取り除く際や歯の穴の形を整えるためにタービンやエンジンという高速で回転する器械にダイヤモンドなどのバーを付けて削っていきます。これが、歯医者さん独特のキーンという嫌な音の元なのですが、この時の振動や刺激が治療の際の痛みとなります。ごく初期のむし歯であれば、削っても痛くはないのですが、少し進んだむし歯では削る時に痛いので麻酔を打ちます。
そして、穴を埋める材料ですが、小さな穴ならコンポジットレジン、大きなものなら金属やセラミックを使います。
さて、どうしてコンポジットレジンと金属・セラミックを使い分けるのか。そして、小さい穴と大きい穴の境界線はどこなのか。
コンポジットレジン充填は、むし歯を取り除いた穴を白いペースト状のレジンで埋めます。そして特定の波長の光を当てて固めます。この材料はペースト状なので、穴の形や大きさにとてもフレキシブルに対応できますので、むし歯の部分だけを削るだけで済みます。ところが、その強度には限界があり、大きい修復、噛む力が強くかかるところには使えません。
そこで、力のかかる歯の部分や大きな穴には十分な強度のある金属やセラミックを使うことになります。ところが、金属やセラミックはペースト状にして歯に直接流し込むことができません。削った後の歯の穴に合うように、型を取って歯科技工所で作ってもらう必要があります。その工程のために、どうしてもむし歯に侵されていない部分まで削らなければならなくなってきます。どの材料を使って歯を埋めるかにより、削る量が変化します。
歯を削る量が少なければ少ないほど治療中に感じる痛みも少なくなりますし、歯の寿命も長くなります。理論的には、日常の生活でまだ痛みが出ていないむし歯なら、麻酔をすることなく治療が可能です。これが「無痛修復」なのですが、この「無痛修復」、歯科医師なら誰でもできるわけではありません。
通常のコンポジットレジン修復は歯科医師であれば誰でもできますが、この無痛修復治療はその何歩も先を行った技術で、相当の知識と訓練による技術の習得が必要になります。
無痛修復治療におけるコンポジットレジン充填はそれほど単純ではなく、修復を完成させるためには健全な部分に少しも触ることなく、むし歯部分だけを厳密に除去できる技術、全く性質の異なる材質から成る歯の断面に、それぞれ工程の異なった材料を使った処理をナノ単位で施せる技術が必要です。
これらのことができて初めて「無痛修復」治療が可能になります。
この無痛治療がなぜ歯科で大きな評価を得ているかというと、次の通りです。
1、歯の寿命は、天然の歯の部分が多ければ多いほど長くなります。
2、歯のエナメル質と象牙質という事なった性質のコンポジットレジンの接着が完全にできることにより、詰め物が半永久的に持ちます。つまり、治療後間もないのに詰め物が脱落するといったことがありません。
3、麻酔をしないことで体に対する負担が減ります。
4、これほどの技術を持った歯科医師が行う歯科治療では、むし歯部分の取り残しによる「二次カリエス」つまり「詰め物の下にまたむし歯ができていた」という事は起こり得ません。
この技術は、日本の東京医科歯科大学、田上教授の率いる研究グループが先頭に立ち世界をけん引してきました。
そして、リチャード先生はその研究グループのメンバーであり、この技術を持っています。